#17 Viriditas の季節に ― 庭を眺めながら、自然療法について考えたこと <後編>
- 森 Wenzel 明華

- 7月23日
- 読了時間: 7分
こんにちは。ドイツ自然療法スクール / ヒルデガルト・ファミリエ 主催、一般社団法人 国際植物療法機構グリーンフォレスト代表の 森 Wenzel 明華 (もり・うぇんつぇる さやか) です。
わたしは 20 年以上にわたって、様々な自然療法を研究し、実生活の中で実践しています。
ドイツには、聖ヒルデガルトという約 1,000 年前に活躍した自然療法の基盤を築いた修道女がいました。
その教えは、今なお多くの人々に時代を超えて愛され、ドイツの自然療法や教育にも影響を与えています。
医師、博学者でもあった聖ヒルデガルトは、自然と調和した生活を重視し、
薬草や自然療法に関する貴重な知識を残しました。 こちらのヒルデガルト・ファミリエ通信では、その聖ヒルデガルトの残した自然療法や考え方を、わかりやすくお伝えしています。
もっと多くのかたに聖ヒルデガルトの智慧やドイツ自然療法のことを知っていただけたら、嬉しいです!
それでは、第 17 回目のコラム、Viriditas の季節に ― 庭を眺めながら、自然療法について考えたこと <後編> をお届けします。

庭は、みんな違うから美しい
<前編>で、お庭の話を書きました。
毎日庭を眺めていると、植物にもそれぞれ個性があることに気づきます。
太陽の光をたっぷり浴びるのが好きな植物もあれば、木陰で気持ちよさそうに育つ植物もあります。
春に咲く花、真夏に輝く花、秋になって美しさを見せる植物。
成長する速さも、それぞれ違います。
もし庭一面に同じ花だけを植えたら、整然として美しく見えるかもしれません。
でも私は、それよりも、さまざまな植物が、それぞれの個性を生かしながら調和している庭のほうが、ずっと自然で美しいと感じます。

人の考え方も、少し似ているのではないでしょうか。
たとえば、同じ考えを持つ二人がいたとします。
女子同士のおしゃべりも、そんなふうに盛り上がることがありますよね。
ある理論について話しているうちに、
「やっぱりそうだよね。」
「私たちの考えは正しいよね。」
と、お互いの考えは少しずつ強くなっていきます。
そこに AI という便利な道具が加わると、質問の仕方によっては、自分が信じたい情報ばかりを集めることもできてしまいます。
AI は、これからの時代に欠かせない素晴らしい道具です。
私も毎日のように活用しています。
けれど、その便利さゆえに、自分が見たいものだけを見続けてしまうと、いつの間にか違う景色が見えなくなることもあります。
だから私は、ときどき自分とは違う考え方に出会うことを、意識的に大切にしています。

違う考えに出会う勇気
ドイツで暮らしていることにも、その意味で感謝しています。
価値観も、文化も、育ってきた背景も、日本とは大きく違うからです。
またドイツでは、自分の意見を持つことと同じくらい、人の意見に耳を傾けることも大切にされています。
異なる考えを否定するのではなく、まず聞いてみる。
そんな姿勢が、日常の中に自然とあります。
(まぁ、ドイツ語で議論するのは大変で……私は無口な人になりがちですが。笑)
一方、日本では、「おかしいな」と感じていても、周りに合わせて言葉を飲み込む場面も少なくありません。
それも日本らしい良さだと思います。
でも、ときには違う意見を交わすことで、新しい気づきが生まれることもあるのではないでしょうか。
我が家は理系中心で、長男は物理学を研究しています。
もし私が、
「量子力学でこれって説明できるよ。」
なんて話し始めたら、息子からは
「それは現在の物理学では、そこまでは言えないよ。」
「それは間違っているよ。」
と、ごく冷静に返ってきます。
最初は少し悔しいこともありますが (笑)、そんな時間があるからこそ、自分の考えをもう一度見つめ直すことができます。

「わからない」を大切にする
波動療法についても、ときどき考えることがあります。
最近は、ホメオパシーや波動療法について、「量子力学で説明できます」と語られる場面も見かけます。
けれど、現在の物理学において、その作用の仕組みが科学的に証明されているわけではありません。
なので私は、物理学を都合よく持ち出して説明することには慎重です。
私たちは、なんとなく難しい言葉や専門的な話に出会うと、「きっとそうなんだ」と、そのまま受け入れてしまうことがあります。
だからこそ、わからないことは「わからない」と言えることも大切なのではないでしょうか。
一方で、私はホメオパシーを学び、実践する中で、自分自身の体験でも、他の方への臨床を通しても、「効いているとしか思えない」と感じる場面を数多く経験してきました。
だからといって、「科学で証明されている」と言いたいわけでも、「科学で証明されていないから意味がない」と考えているわけでもありません。
まだ私たちの科学では説明できないことが、この世界には満ち溢れています。
広い宇宙の中に隠されている宝箱みたいではないでしょうか。
いつか人類がその謎を解ける日が来るかもしれない。
そう思うと、なんだかわくわくしてきませんか。(笑)
量子力学や物理学という言葉は、私にはとても難しい分野です。
長男がどれだけわかりやすく説明してくれても、「なるほど!」と完全に理解できるわけではありません。
専門的で理解しにくい言葉ほど、「科学的に証明されています」と言われると、そのまま受け入れてしまいそうになる怖さも感じています。
だから私自身も、その言葉に流されるのではなく、「本当にそうなのだろうか」と立ち止まりながら、これからも学び続けていきたいと思っています。

聖ヒルデガルトが遺した学び
聖ヒルデガルトもまた、多くの人と対話を重ねた人でした。
修道院の中だけで思索を深めていた人ではありません。
教皇や皇帝、司教、修道院長、修道女、病に苦しむ人々。
身分や立場を越えて数多くの人と手紙を交わし、相談を受け、ときには厳しく、ときには優しく助言を与えていました。
聖ヒルデガルトは、自然を観察するだけではなく、人びとの悩みに耳を傾け、対話を重ねながら、「人間とは何か」を考え続けた人でもありました。
だからこそ、彼女の自然療法は、ハーブや食事だけではなく、人の心や生き方までを含む、ホリスティックなものになったのではないでしょうか。

真理は、一人の中だけで完成するものではありません。
人との対話は、自分の考えを磨き、より深く、より豊かなものにしてくれます。
自然療法も同じです。
「これだけが正しい」と思ったときこそ、一度立ち止まり、別の視点にも耳を傾けてみる。
ヒルデガルトファミリエの自然療法レッスンでも、私はディスカッションをとても大切にしています。
皆さんの意見を聞き、お互いの考えを交換することで、一人では気づかなかった視点に出会うことができます。
その積み重ねが、自分で考える力を育ててくれるのだと感じています。
私自身も、受講者の皆さんも、まるで花が咲くように少しずつ変化していく姿を見てきました。

Viriditasという「まなざし」
違うもの同士が、夏の光あふれる庭に咲く花々のように、それぞれの役割を持ちながら調和しているからこそ、美しいのです。
聖ヒルデガルトは、人びとの暮らしや心に耳を傾け、自然の営みを見つめ、さらに天地を貫く宇宙の秩序 (コスモス) にまで思いを巡らせながら、この世界を一つのつながりとして捉えていたのです。
いつか、聖ヒルデガルトのようなまなざしで、自然や人、そして世界を見ることができたなら。
少しだけ、今よりもやさしい世界になるのかもしれません。
そんなことも、レッスンの中で皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。

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一緒に、素敵な仲間たちと共に、聖ヒルデガルトを生きていきましょう。
いつもあなたの健康と幸せを祈っています。

第 17 回目のヒルデガルト・ファミリエ通信のまとめ
Viriditas の季節に ― 庭を眺めながら、自然療法について考えたこと 後編
違う考えに出会うことで、新しい視点が生まれます。
異なる価値観に耳を傾けることは、自分自身の考えを深める大切な学びに繋がります。
「わからない」と言えることも、学びの一歩。
答えを急がず、謙虚な気持ちで探究し続ける姿勢が、新たな発見への扉を開いてくれます。
Viriditasとは、違いを認め合い、調和を育むまなざし。
自然も人も、それぞれの個性が響き合うことで、豊かな生命の力が育まれていきます。





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