こんにちは。ドイツ自然療法スクール / ヒルデガルト・ファミリエ 主催、一般社団法人 国際植物療法機構グリーンフォレスト代表の 森 Wenzel 明華 (もり・うぇんつぇる さやか) です。
わたしは 20 年以上にわたって、様々な自然療法を研究し、実生活の中で実践しています。
ドイツには、聖ヒルデガルトという約 1,000 年前に活躍した自然療法の基盤を築いた修道女がいました。
その教えは、今なお多くの人々に時代を超えて愛され、ドイツの自然療法や教育にも影響を与えています。
医師、博学者でもあった聖ヒルデガルトは、自然と調和した生活を重視し、
薬草や自然療法に関する貴重な知識を残しました。 こちらのヒルデガルト・ファミリエ通信では、その聖ヒルデガルトの残した自然療法や考え方を、わかりやすくお伝えしています。
もっと多くのかたに聖ヒルデガルトの智慧やドイツ自然療法のことを知っていただけたら、嬉しいです!
それでは、第 3 回目のコラム、聖ヒルデガルトの自然療法についてお届けします。
聖ヒルデガルトの自然療法というのは、彼女が『Physica / フィジカ (自然学)』や『Scivias / スキヴィタス (道を知れ)』などの著書に記した癒やしの方法を元に治療や、生活改善をしていくという方法です。
聖ヒルデガルト療法には、どのような種類があるのでしょうか?
大きくは、次のように分けることができます。
・栄養 (ダイエット・ファスティング)
・薬草、宝石、ライフスタイル
・精神性、祈り、その他の療法など
また、下記のような感じでも捉えることができます。 「予防・健康法として 」
・ファスティング・ダイエット・病気の予防・養生法 (四体液説から診断した身体と心のバランスの取り方)
・ヒルデガルト的思考、生き方の実践
「治療学 / 病気の際の治療方法として」 ・薬草療法
・物質を使った治療、瀉血
・石やハーブを使ったマッサージ
・カッピング(吸い玉) ・その他の治療 (動物の毛などを使った特殊な療法などもあります)
わたしたちが家庭で、セラピストとして実践できるものもたくさんあります。
こちらは緑の薬箱講座や自然療法家養成講座の中でも、聖ヒルデガルトの考え方、生き方について詳しく学んでいきます。
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弱者のための、弱者による療法
聖ヒルデガルトは、1,000 年以上前に、
すでに人間の心と身体のホリスティックな視点を持っていました。
聖ヒルデガルト療法を理解するとき、聖ヒルデガルト自身についても理解する必要があります。
貴族のお嬢様で、10番目の子どもとして生まれた時から、ものすごく身体が弱く、
両親は「きっとこの子は 3歳まで生きることができないだろう」と考えたのでした。
そしてキリスト教の „日々の糧の10分の1を神様にお返しする“ という教えから、
修道女になることが生まれる前から決まっていました。
そして彼女は修道院に入ることになります。
これは 8 歳とか、6 歳の時だった・・・と諸説あります。
聖ヒルデガルトは病や身体の痛みで寝込んだり、
何度も倒れたりしているエピソードが残されています。
聖ヒルデガルトは 42 歳のときに、神の啓示を受けて『Scivias / スキヴィタス (道を知れ)』という本を書くことになります。
この本がカトリックの世界に大きな衝撃と影響を与え、ヨーロッパ中に聖ヒルデガルトの名声が広がり、彼女の人生を大きく変えることになりました。
「みたこと、聞いたことをそのまま伝えなさい」と神様からの啓示 (ビジョン) を受けたとき、聖ヒルデガルトは恐れおののきました。
「わたしには、そんな大役、恐れ多い・・・無理です!間違って書いてしまうかも・・・」
・・・と拒否していると、病気になって倒れてしまうのです。
やっと
「わかりました、やります!!」
そう決意すると、症状もよくなりました。
そういうことを何度も繰り返しています。
それくらい繊細な身体だったのです。
しかし・・・聖ヒルデガルトの精神力は逞しく、魂は強く輝いていました。
彼女はその後、死ぬ直前まで、様々なことを成し遂げていきました。
聖ヒルデガルトの『Physica / フィジカ (自然学)』や『病因と治療』などに出てくる薬草や治療のレシピは、身体に良いだけではなく、患者さんの精神的負担を少なくする工夫がされているものが多いのです。
彼女自身が身体が弱く、薬といえば苦い、そういうものを変えたいという想いもあったのでしょう。
優しさが込められた調剤方法なのです。
『Physica / フィジカ (自然学)』は
聖ヒルデガルトが残した修道院の秘密の癒やしの書
その当時、薬 (薬草など)の効能は庶民には知らされていませんでした。
今、わたしたちが簡単に手することができる知識も、当時は特権階級の知識だったのです。
そして、わたしたちがポチッとすぐに手にすることのできる本は、修道院の秘密の書だったのです。
『聖ヒルデガルトの医学と自然学』
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン著、プリシラ トループ、井村宏次、聖ヒルデガルト研究会翻訳 (ビイング・ネット・プレス出版)
当時、病気にかかって医師に診てもらったり、薬で治療できたのも、特権階級の人たちだけでした。
そんな中で、修道院は病院のような役割も兼ねていました。
ヒルデガルトは様々な階級の人たちを助けたのでしょう。
『病因と治療』を読んでいるといかに多くの人を冷静な眼差しでみつめていたのか、が理解できます。
中でもヒルデガルトの療法で、特徴的なのは、薬草とはちみつを使っていることでしょう。
その当時、お砂糖はまだありませんでした。
「甘さ」というのは、すごく貴重なものだったのです。
甘いものは果物くらいでした。
ですから、はちみつの甘さは特別なものでした。
聖ヒルデガルトのレシピは、
苦い薬草と、はちみつの甘い優しさで摂れるものが多いのです。
飲みやすいこと、病人がほっと癒されること…。
そんな彼女の思いやりと気配りがあふれているのです。
聖ヒルデガルト自身が弱者であるがゆえに、弱者の気持ちがわかる。
それが聖ヒルデガルト療法なのです。
ここで一つ、聖ヒルデガルトのはちみつを使ったレシピをご紹介して、今回の通信は終わりにしたいと思います。
聖ヒルデガルトのハートワイン
とっても簡単!パセリワイン 別名 ハートワインとも呼ばれている有名なレシピです。
心臓や血液循環に良いとされています。
材料 & 作り方
ひとつかみのパセリを細かく切ります。
ビネガー小さじ 2 とワイン500 ml に 1. のパセリを加えて煮込みます。
最後にはちみつを 小さじ 2 ~ 5 ほど淹れます。お好みで甘さを調整してください。
第 3 回目のヒルデガルト・ファミリエ通信のまとめ
「聖ヒルデガルト療法」
・聖ヒルデガルト療法は植物療法だけでなく、宝石、動物、ライフスタイルや考え方なども含むホリスティックな医療です
・弱者による、弱者のための療法
聖ヒルデガルトは幼少期より病弱だったので、病の人たちの心・体・魂を理解していました
・はちみつを使った薬草酒は聖ヒルデガルトならではの優しさが溢れています
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