#6 中世のスーパーウーマン・聖ヒルデガルトへの旅路 〜 聖ヒルデガルト昇天祭と朝の祈りの時 〜
- 森 Wenzel 明華
- 4月5日
- 読了時間: 6分
更新日:4月5日
こんにちは。ドイツ自然療法スクール / ヒルデガルト・ファミリエ 主催、一般社団法人 国際植物療法機構グリーンフォレスト代表の 森 Wenzel 明華 (もり・うぇんつぇる さやか) です。
わたしは 20 年以上にわたって、様々な自然療法を研究し、実生活の中で実践しています。
ドイツには、聖ヒルデガルトという約 1,000 年前に活躍した自然療法の基盤を築いた修道女がいました。
その教えは、今なお多くの人々に時代を超えて愛され、ドイツの自然療法や教育にも影響を与えています。
医師、博学者でもあった聖ヒルデガルトは、自然と調和した生活を重視し、
薬草や自然療法に関する貴重な知識を残しました。 こちらのヒルデガルト・ファミリエ通信では、その聖ヒルデガルトの残した自然療法や考え方を、わかりやすくお伝えしています。
もっと多くのかたに聖ヒルデガルトの智慧やドイツ自然療法のことを知っていただけたら、嬉しいです!
それでは、第 6 回目のコラム、中世のスーパーウーマン・聖ヒルデガルトへの旅路についてお届けします。

聖ヒルデガルト (1098 〜 1179年) は、81 歳で亡くなりました。
亡くなる直前まで修道院での活動を熱心に続けていました。
多くの人に囲まれながら静かに息を引き取ったと伝えられています。
亡くなった際には、天から光が降り注いだという伝説も残っています。
そして毎年、9月17日は聖ヒルデガルト帰天祭が行われます。
ライン川沿いの街「つぐみ横丁」で有名な観光地でもあるリューデスハイムという町があるのですが、少し丘を上がったところに、アイビンゲンという集落があります。
そこにヒルデガルト巡礼教会というのがあります。
個人旅行でドイツでライン川下りをされるご予定があれば、リューデスハイムだけでなく、ぜひ少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

この教会の祭壇には、ヒルデガルトの遺骨が納めらている黄金の聖櫃が祀られています。
祝祭の 9月17日には、1 年に一度、聖櫃が頑丈な透明のケースから取り出されます。
信者は (というより希望する人なら誰でも) その聖櫃に直接触れて祈るということができるという特別な日なのです。
そのため世界中から多くの人がこのセレモニーに参加します。

ほぼ毎年わたしは自然療法仲間と共に、このセレモニーに参加しています。
朝、セレモニーの始まる前に、聖櫃教会からブドウ畑の少し丘の上にある聖ヒルデガルト修道院のミサにも参加します。
ライン川を見下ろす葡萄畑のなだらかな丘に聖ヒルデガルトにちなんだ教会がふたつあるのです。
澄み切った空気の中、ライン川を眼下に、まだ太陽が昇り切らないぶどう畑の間の道を通って、修道院の教会へと向かいます。
静けさに満ちた修道院の教会の前庭には、聖ヒルデガルトが愛した様々な薔薇の花が朝露に濡れて、たくさん咲いているのです。
教会に一歩、足を踏み入れると、正面天井に主イエスキリストが大きく手を広げたフラスコ画が描かれ、来訪者を迎え入れてくれるのが印象的です。
何度訪れても、なにもかもを全てを受け止めてくれるかのような安心感と、厳かな気持ちになれる場所です。 側面の壁側には向かって右側には、聖ヒルデガルトの生涯が、フラスコ画で描かれています。
彼女が幼い少女の時に修道院に入り、バルバロッサ赤髭王に謁見し、女性修道院を建てるために独立し、ライン川で目の見えない男の子の目が見えるようになった奇跡を起こし、亡くなるまでの彼女の歴史が 5 つのシーンに分けて描かれています。
それをみているだけでも聖ヒルデガルトの生涯を共にタイムスリップしたような、そんな懐かしい気持ちになれます。

教会堂内に、修道女たちの美しい歌声が清らかに響き、朝のミサが始まります。
参列者も少なく、朝の静かな気持ちのままで祈りの時間を持つことができます。
前列に座った老夫婦が仲睦まじく、足の悪いご主人を奥様が懸命に支えられていたのですが、 二人の姿を見ていると、夫婦愛や深い信仰心など、真摯に祈られる姿から、 様々な想いがこみ上げてきて、自然に涙が溢れてきました。
この涙も、聖ヒルデガルトの述べた魂からの涙のように感じました。
この涙も、前回のコラムでお伝えした聖ヒルデガルトの述べた魂からの涙のように感じました。
天まで響く修道女たちの歌声は、天から降ってくるような優しさで、
今も生き続ける聖ヒルデガルトの愛と息吹、中世の修道女たちの様子が想像できました。
きっとヒルデガルトが生きていた時代は、このような素朴でいて、
愛に溢れるミサが行われていたのかな、と思いました。
教会のミサが終わって、外に出ると、朝もやの中、ちょうど太陽が上がってきたばかりで、ライン川とブドウ畑が朝の光に照らされていました。
天からの贈り物のような光景です。
セレモニーも素晴らしいのですが、中世のヒルデガルトの想いや、
暮らしを知りたい方は、ぜひ修道院の朝のミサに行かれることをお勧めします。

ヒルデガルトの書籍は日本語にも訳されています。
家庭でヒルデガルト療法を取り入れたい場合は・・・ 『ハーブ療法の母ヒルデガルトの家庭でできるドイツ自然療法』 (BABジャパン)
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ドイツ自然療法スクールの代表の森 Wenzel 明華がご案内します。
基本的には個人での受け入れとなりまりますが、季節によってはグループになることもあります。
色んなことを語らいながら、聖ヒルデガルトを感じる旅に一緒に出かけましょう!
第 6 回目のヒルデガルト・ファミリエ通信のまとめ
「中世のスーパーウーマン・聖ヒルデガルトへの旅路」
・聖ヒルデガルトが眠るアイビンゲンの教会では、9月17日の帰天祭に年に一度の特別なセレモニーが行われ、世界中から多くの人が集います。
・修道院の朝のミサは、ヒルデガルトの息吹が感じられる特別な祈りの時間。中世のヒルデガルトの想いや、暮らしを知りたい方は、ぜひ修道院の朝のミサに行かれてみてください。
・聖ヒルデガルトの愛と知恵は、1000年を超えて、今もなお生きて私たちの心や魂に優しく響いています。日々の生活に取り入れられる自然療法や、生き方へのヒントがたくさんです。聖ヒルデガルトの知恵をドイツ自然療法スクール / ヒルデガルト・ファミリエで学んでみませんか。
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